Workshopについて
● 私たちの目標 / ねらい
ダンスの世界にいながらも、社会の流れや変化、人々の必要とする所が垣間見えることがあります。非常に感覚的、直感的ではありますが、一緒に踊る機会さえあれば日本の社会はより良くなるのではないか、と確信を持つに至ります。
では何故、コンタクト・インプロビゼーションを提案するのでしょう。それは、まず、これが身体的活動である事。近代、現代と時代が下るにつれ、人間という生き物の身体感覚・身体空間は、どんどん狭く小さくなってきたそうです。現在は加速度的に頭脳のみの人間が増殖しているように思います。決して特殊な能力を目指すのではなく、昔の人が当然に持っていた身体感覚や、子どもの頃に持っていたであろう好奇心と無邪気で本能的な行動力。「気」と「血」が巡りバランスの良い身体。CIはそれらを取り戻せる着実な心身活性化活動です。
即興であることは、自立することです。また決断することです。情報を瞬時に取り込み、処理し、選択、決定する事です。様々な力を駆使して場を読む事です。他者という不可解で不思議な存在は、自分を大きくします。誰一人、自分と同じ人はいないのですが、その他者と心が通じ、身体が共同し、世界初のダンスを繰り出していくという現象は、夢のような出来事です。「主張を持ちつつ協調する。協調しているが主張は通せる。」このような関係を他者と築き上げる事をCIの場に於いて目指していきます。
CIには、高度な技術が必要とは限りません。必要なのは、自分の身体と、他者。そして交流しようとする気持ちです。昨今、一人でいる事が上手で、他者との意思疎通が苦手だという人が増えています。自分を表現する事と、他者を理解すること、という人間の社会生活に不可欠な基本的能力は、生身の人間とのコンタクトによって養われるものであると思います。
道具も機具も使わず、身体を動かし、遊び心を発揮して、少し思い切ってパートナーに触れてみる。「ふれあう事から始まるダンス」は無限の自分と出会う方法の一つです。
身体を自由自在に動かすのは、ダンサーだけの特権ではありません。
老若男女総ダンサーの時が来る事を密かにたくらむ今日この頃です。